重度の精神病
回復の見込みのない重度の精神病
本来夫婦には、扶助義務がありますので、配偶者が重度の精神病にかかった場合は、なおさら夫婦は互いに協力し助け合わなければならないという義務を負っています。
ただし、配偶者が回復の見込みがない重度の精神病にかかってしまい、既に夫婦として精神的なつながりがなくなってしまったといった場合、離婚を認められることがあります。
配偶者が強度の精神病になり、「回復の見込みがない」ときは離婚請求できるとされているからです。強度の精神病とは、精神病のため夫婦関係が破綻してしまう程のものをいい、「回復見込みがない」とは、不治の病であること、すなわち、「今後夫婦関係が修復される可能性のない」場合をいいます。
「回復見込みのない強度の精神病」であるか否かは、最終的には医師の判断を参考にして、裁判官が判断することになります。
統合失調症(精神分裂症)などは、回復見込みのない強度の精神病と認められることが多くなっています。 一方、アルツハイマー病(老人性痴呆)やうつ病は、回復見込みのない強度の精神病と認めらない傾向にあります。
また、裁判所は、回復見込みのない強度の精神病であると認められた場合であっても、精神病者の離婚後の生活費や診療費、引き受け先等のある程度のめどがついた場合でないと離婚を認めるべきでないとしています。現状としては、先行きのめどが立っているといったよほどの事情がなり限り、認められない傾向にあります。
◆統合失調症とは
以前は「精神分裂病」と言われていましたが、平成14年に「統合失調症」という病名に改められました。120人に1人発症するといわれている病気で主に思春期に発症いますが、例外的に40歳を超えて発症する例も見受けられます。詳しいことは判明しておりませんが、主に遺伝的な要素が強く、社会的環境、心理的要因とも関係しているとされている病気です。薬物療法でかなりの症状がおさえられます。なかなか完治はせず、よくなったように見えても再発をすることが多く、定期的に通院が必要になります。
症状
- 言っていることが支離滅裂になり、社会生活が営めない
- 幻聴が聞こえる
- 幻視が見える
- 妄想
- 無気力、無関心
- 生活能力の低下
◆アルツハイマーとは
痴呆のもっとも一般的なものです。徐々に発症します。
症状
- 家族(人の名前)がわからなくなる
- 同じことを何回もいう
- 理解力や判断力が低下する
- 少し前のこと(昼に朝食べたもの等)を忘れる
- 短気になり、おこりっぽくなる
◆せん妄とは
病気ではなく、突然出現する一過性の精神錯乱状態です。
せん妄は、生命の危険のおそれのある症状で、いち早く原因となる病気をつきとめ、医学的な処置を施すことが必要です。
- 手指の震え
- 幻覚
- 妄想
- 支離滅裂な言葉
◆うつ病とは
多くのうつ病は治療可能です。原因については、はっきりと解明されていません。
症状
- 強いうつ気分
- 興味や喜びの喪失
- 睡眠障害
- 食欲傷害
- つかれやすい
- 死への思い